JP−@−B0061/2 基礎の学び 2020年版(ver.7) B 人との関係  (06) 境界線
■・■-20/03/20


境界線とは、自分と他者を分けるものです。人間が生きていくのに境界線というものは重要です。もっともわかりやすい例は皮膚です。これが無いと体の水分は常に蒸発し、病原菌に体をさらしてしまいます。
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同様に心に境界線が無いと、他人に利用され疲れてしまったり、不当な扱いを受けたり、負うべき必要のない重荷を負って疲れてしまう事はよく見られることです。
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ある人の家は駅の近くにあったからか家の前に知らない人がいつも勝手に自転車を停めておりました。困った彼は「ここは自転車捨て場です。ここにある自転車を差し上げます」という立て札を立てました。
すると、どうでしょうか。たった一つの立て札によってだれも彼に迷惑をかけなくなりました。
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彼がした事は、ただ、意思表示をしただけです。こんな単純な方法でも永続的に自分の領域を守れたのです。
これは、日々の私たちの生活にもいえます。境界線を明確に表明するなら多くの問題から守られます。
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■「境界線を守る」という意味は大きく分けて2つあります。
相手の侵害から自分の領域を守ることと、相手の領域を侵害しないことです。
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■ノー(いいえ)ということ
いやなことに対して「ノー」という意思表示をすることは重要です。
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■いじめに対して:
「いじめ」にはさまざまな原因がありますが、時々見られるいじめを増幅させてしまう原因は、いじめに対して抵抗しないことにあります。「ノー」という意志を表すだけで改善されることもあることを知ってください。
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■他の人に対する悪い言葉
たとえ、自分に対する悪口ではなくても、誰かに対する悪い言葉を聞かされ続けたら悪い影響を受けます。
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他人の悪口を言う友達のことばを聴きたくないのに、それを制止できないので、聞かされ続けている人がいました。挙句の果てには、一緒に悪口を言っていたと周りから思われてしまいました。
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人が語る批判的な言葉を聴かされ続けるなら、その言葉の影響を受けて心がふさぎこむだけではなく、その人が持っている霊的な影響「批判の霊」「不信の霊」の影響を受けとってしまうこともあるのです。
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多くの人は気がついていませんが、テレビやネットを通じて悪い影響が入ってくることも見逃せません。
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■日本の文化に働く悪影響
日本では自己卑下が美徳とされているので、自分の良い点をアピールすることはあまりありません。それはそれでへりくだりという意味では良いものですが、その流れの中で、自分の子どもをほめないどころか、人前で悪く言うこともたまに見られます。
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子供をほめないということは、「単に良いことをしていない。」ということだけでなく実際にはそれによって悪いものを相手に与えているのです。
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■ コントロールに対して:
支配的なリーダー、上司、親に対して境界線を持たないと侵害されてしまいます。
ある人は自分がしなくても良い仕事を押し付けられても断ることができません。
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そうなってしまうのには潜在的な理由がある場合があります。
誰かにコントロールされてしまうのにはいくつかの原因があります。たとえば

  1. 「拒絶を恐れる」A「自己像が低いので出来ることを証明したい。」B「完ぺき主義」等々です。

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また若者がだまされて何らかのイデオロギー(共産党などの思想)に走ったり、ネットワークビジネスにはまってしまう理由の中には、孤独に対する恐れ、達成欲、責めを植えつけられる事、その他、さまざまな心の隙をついてあなたを利用しようとする人がいるのです。
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「あらゆる人間関係のもつれは、境界線(バウンダリー)の問題だった!」この言葉は、「境界線」というタイトルの世界的にベストセラーとなったクリスチャンの本のキャッチフレーズです。もちろん全てがそうではないでしょうが、人との関係を大事にするあまり無理してしまう人が多いのも事実でしょう。
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■当然の権利と勘違いしてしまう境界線侵害
実際には一見わかりにくい境界線侵害もあります。
それは、相手のした行動に対して「怒りをぶつけること」です。実はこれも境界線侵害で自分の分を超えています。確かに、相手の人はあなたに対していらだたせたかもしれませんが、相手がしたことはあなたの怒りのスイッチを入れただけです。あなたは自分の怒りをコントロールしなければなりません。
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相手の人が悔い改めに導かれるのに必要なことは「神のいつくしみ深さ(慈愛)」(ローマ2章4節)なのですから、あなたが怒りをあらわすときに聖霊が働く機会を奪うことになってしまいます。
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同様に相手に復讐することもそうです。ローマ12章19節には「復讐は神がされる事」と書いてあります。
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■責任を取らせない
その人が負うべき責任を他の人がとることを妨げてしまうケースがあります。その人に好意を与えているつもりであっても実際には助けにならないどころか、自立を妨げてしまうこともあるのです。
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境界線について教えない子育て
この世はルールに従わないと痛い目にあいます。犯罪を犯せば処罰されますし不利益をこうむります。
親が、きちんとしつけをしないで野放しにしていたら、子どもは知らず知らずのうちにこの世の中をなめてしまいます。
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「おれおれ詐欺」は典型的な境界線の問題です。
典型的な例は息子が「会社のお金の運用を誤っ損失を出した。明日までにお金が必要だ。」などと聞かされて、それが本人からの連絡か大して確かめずに、尻拭いの為にお金を出してしまうという問題です。
その親は、多かれ少なかれ、子育ての段階から自分で責任をとらせる習慣をつけてこなかったことでしょう。
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■■付録■■
■共依存
共依存とは読んで字のごとくひとつの特徴は「互いに依存」してしまうことです。共に依存というと弱い二人が片寄せあっているイメージを持つかもしれませんが、家庭内暴力のように片方が支配的な場合もあります。
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自分をあやめる人に依存してしまうというと変に聞こえますが、たとえば、そのときはいやでも「私はあなたがいないとだめなんだ」などと言ってあやまってきたら「依存されたい」という自分の気持ちが満足することもあって、問題に対処しないで関係を続けてしまうようなケースがあります。
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自分では客観的に見ない問題であっても、誰か別の第三者に相談すれば簡単にわかります。
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■親子の共依存。
日本では親子の共依存が良く見られます。たとえば、夫婦の関係が悪いと、妻は夫で満たされるはずの分を子どもで満たそうとして、「親と子供が精神的に癒着する」ことがみられます。
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そのようなわけで境界線の問題は共依存的な家庭で育つと起こりやすくなります。何でも自分でこなして、しっかりしているように見える人であっても、実は、成長過程で親がその分を果たさなかったために、子どもが代わりに親が負うべき重荷を負っていたような場合には、境界線の問題を持ちやすいです。