JP−A−A14  中級編 旧約聖書概論 Aグループ  (14)約束の地を勝ち取る
17/08/291/2 ● ■・■


聖書箇所:(申命記6章4節〜6節)(ヨシュア記1章〜11章)
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ヨシュア記において民は具体的に約束の地に入りました。しかし、それによって自動的にその土地が自分たちのものになったわけではありません。それは「譲り受けること」と「勝ち取ること」の違いです。
いわくつきの安い競売物件のビルを落札したもののヤクザが不法占拠していた話を聞いたことがあります。所有者は法的にビルの持ち主でも、そこを利用するにはヤクザを追い出さねばなりません。
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これは私達の日常的な信仰生活においても言えることです。神は私達に多くの祝福を約束されています。けれども、そのすべてを手にしているわけではありません。自分がまだそれらを手にしていないのを見て、ある人は「神の約束は確かではない」「聖書は本当ではない。」と言ったりします。でも、そのような勘違いは聖書の原則を知らないからです。その聖書の原則とは「譲り受ける(相続する)ことと、勝ち取ることの違い」です。
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土地の分割   (ヨシュア1:3 あなたがたが足の裏で踏む所はことごとく、わたしがモーセに約束したとおり、あなたがたに与えている。1:4 あなたがたの領土は、この荒野とあのレバノンから、大河ユーフラテス、ヘテ人の全土および日の入るほうの大海に至るまでである。
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ここで神は驚くべき約束をされました。この「与えている」という動詞は「すでに与えてしまっている」という意味です。確かに、約束の地に入ったイスラエルの民は以下のように、土地を12部族に割り当てました。
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(ヨシュア記11:23 こうしてヨシュアは、その地をことごとく取った。すべて主がモーセに告げたとおりであった。ヨシュアはこの地を、イスラエルの部族の割り当てにしたがって、相続地としてイスラエルに分け与えた。その地に戦争はやんだ。
「その地をことごとく取り、分け与え、戦争がやんで平和になった。」・・・・めでたしめでたし・・・・
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と思っていたら、隣のページ(新改訳第2版)を見たら13章1節に「まだ占領すべき地がたくさん残っている。」と神がヨシュアに語っています。これはいったいどういうわけなのでしょうか。
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それこそ、譲り受ける事と所有する事との違いです。確かに土地は与えられましたが、そこにはまだ異教の民が住んでおり、彼らを追い出さねばなりません。このことは、今日の私達に多くの教訓を与えます。
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戦いと言うのは、人に対するものではなく、悪霊に対する霊的戦いのことです。エペソ6章12節に 「私たちの格闘は血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。」という言葉があります。
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また、一見、そうは見ないような人間関係の問題であっても、その背後には悪霊が関与しているのです。
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もうひとつ考慮すべき点は「神は所有地を徐々に与える」という点です。
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(申命記7:22) あなたの神、主は、これらの国々(他民族)を徐々にあなたの前から追い払われる。あなたは彼らをすぐに絶ち滅ぼすことはできない野の獣が増してあなたを襲うことがないためである。
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野の獣は私たちの心に潜んでいる弱さや欠点です。基礎の学び「A-4 過去の処理」「A-5 間違った契約の破棄」「B-2過去の傷と赦すこと」などのような心の癒しや、悔い改めなども含まれています。以前「初級編Bグループ-人との関係-03」の中でコンプレックスの根と高慢の根が同じであることについて書きました。
へりくだっているように見えても、それがコンプレックスであるなら、その隠れた根は用いられはじめるときに、「野の獣」として正体を現し始めるのです。
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サウル王の話を知ってますか(1サムエル記9章〜18章)彼は始めはへりくだって見えましたが、後に高慢になりました。でも正確に言うなら、彼はへりくだっていたのではなく、自信が無くコンプレックスを持っていたのです。コンプレックスと高慢は同じ根であり、彼が急激に用いられた後にダークサイドが現れたのです。
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そのような問題を解決するのに必要なのは、カウンセリングなどの積極的な解放の為のミニストリーです。そうであっても時間がかかるものです。ですから、自分が理想的に振舞えないからといってフラストレーションを持つ事はありません。時には時間がかかるということも理解しておく必要があります。
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でもどうぞ勘違いしないでください。「ゆっくりとした成長、少しの勝利のクリスチャン生活でよい」と言っているのではありません。私達が自分の意思で決心し、主に近づき、癒しを受け取るなら、神は速やかな勝利を与えてくださるのです。
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そう、確かに心の中の野の獣がきちんと処理されているなら、神様はあなたの成長のスピードを抑制する理由はありません。驚くほどの大きな勝利をすばやく与えてくださることでしょう。
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この約束の地を勝ち取るためには戦略が必要です。ヨシュアはいつそれを受け取ったのでしょうか。
ヨシュア5章の後半を見ると、ヨシュアは礼拝の中で軍勢の将である(おそらく)イエスキリストに出会いました。彼は戦略を直接神から聞いたゆえに超ユニークな戦略でエリコを攻略することができたのです。
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約束の地を攻略するのに最も大きな妨げは要塞の城壁でした。しかし、この壁が崩れたときに、速やかな勝利が与えられたのです。この要塞について聖書は下のように語っています。
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(第2コリント10:3 私たちは肉にあって歩んではいても、肉に従って戦ってはいません。10:4 私たちの戦いの武器は、肉の物ではなく、神の御前で、要塞をも破るほどに力のあるものです。
(21)
私たちの戦いは人に対するものではなく、霊的なものであることを知ることが大切です。
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申命記は説明会: 申命記の内容のほとんどは40年前に出エジプト記、レビ記に記された内容の繰り返しです。それもそのはず、申命記の意味は「再び語る」だからです。(A-A-12)に書いたように約束の地での生活は荒野の生活とは勝手が異なります。それゆえその地に入る前に神は再確認の意味で説明会をされたのです。
その中でも一番大きな命令は以下のものです。約束の地を勝ち取るためにこの言葉を心に刻むべきです。
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(申命記6:4 聞きなさい。イスラエル。主は私たちの神。主はただひとりである。6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。6:6 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。
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この言葉はイエスが最も大切な教えとして語られた(マタイ22:37)言葉でもあります。約束の地で
成功する秘訣は、神に近づき神との関係を築き上げることなのです。
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また「ことばを心に刻みなさい」とあるように聖書の言葉に触れ、思い巡らすことが大切です。聖書を読むこと、書くこと、思い巡らすこと、実践することによって心に刻むことができます。もし、自分でそうしないなら、苦難を通じて私たちの心に刻む方法を主は許容されるかもしれないので注意しましょう。
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ソロモン王は世界で最も知恵のある人でした。おそらく全ての御言葉を記憶していたことでしょう。しかし、それは彼の助けにはなりませんでした。彼は多くの馬を持ち(1列王11:26)1000人の妻と妾を持ち(1列王11:3)戒めをことごとく破りました。御言葉には「王は、自分のために決して馬を多くふやしてはならない。、多くの妻を持ってはならない。」(申命記17:16-17)と書いているにもかかわらず。
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どうしてそうなったのでしょうか。それは彼が、その1節あとの御言葉である(申命記17:19) 「自分の手もとに置き、一生の間、これを読まなければならない。それは、彼の神、主を恐れ、このみおしえのすべてのことばとこれらのおきてとを守り行なうことを学ぶためである。」という言葉をさげすんだからです。
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それは聖書の言葉を全部暗記したとしても勝利ある信仰生活が保障されているわけではないことを意味します。神が願っていることは私達が日々、御言葉に接し心に刻むことです。ですから、メッセージを聞くときに「すでに読んだ」とか「もう知っている」という態度でなく、日々新鮮な気持ちで、それを心に刻んでいく必要があるのです。