JP−A−A31  中級編 旧約聖書概論 Aグループ  (31) エレミヤ書
19/01/281/2  ● ■・■

聖書箇所:エレミヤ書 哀歌

エレミヤはユダ王国の滅亡を目の当たりにした預言者です。彼がした預言を簡潔に言うなら@ユダヤの滅亡は神の御心である。Aバビロンに降伏しなさい。B神は70年後再びイスラエルに帰還させてくださる。

◆エレミヤの召し
1:5 「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者と定めていた。」
彼自分が若いと言うことで自信が無かったのですが、主の励ましによって立ち上がりました。

1:17 さあ、あなたは腰に帯を締め、立ち上がって、わたしがあなたに命じることをみな語れ。彼らの顔におびえるな。さもないと、わたしはあなたを彼らの面前で打ち砕く。
1:18 見よ。わたしはきょう、あなたを、全国に、ユダの王たち、首長たち、祭司たち、この国の人々に対して、城壁のある町、鉄の柱、青銅の城壁とした。 1:19 だから、彼らがあなたと戦っても、あなたには勝てない。わたしがあなたとともにいて、――主の御告げ。――あなたを救い出すからだ。」

主は彼を励ましますがそれと同時に「さもないと、わたしはあなたを彼らの面前で打ち砕く。」という言葉をもって警告を与えます。それは、エレミヤほどの大きな召しが与えられている人に為の言葉であって、全ての人にそのように扱うわけではないでしょうが信仰に立つ人達を奮い立たせる言葉です。
そしてまた、それと同時に、「わたしがあなたとともにいて、――主の御告げ。――あなたを救い出すからだ。」という言葉によって守りの約束も与えます。

この約束通りエレミヤは守られました。しかし、26:20〜24に登場するウリヤと言う人はエレミヤと同じ様な預言をしていましたが、恐れてしまった彼は逃げ、そして殺されました。固く立つことが重要です。

◆ 中傷に落胆するエレミヤ
20:7 主よ。あなたが私を惑わしたので、私はあなたに惑わされました。あなたは私をつかみ、私を思いのままにしました。私は一日中、物笑いとなり、みなが私をあざけります。(中略)20:11 しかし、主は私とともにあって、横暴な勇士のようです。ですから、私を追う者たちは、つまずいて、勝つことはできません。彼らは成功しないので、大いに恥をかき、それが忘れられない永久の恥となりましょう。

いざ、立ち上がっても、批判され迫害されたのであるなら、落ち込みます。しかし、敵は恥をかくのです。

◆ 偶像に騙される民衆
彼は宗教的指導者からだけでなく民衆からも批判されます。民衆の主張は偶像を拝まなかったから私達に不幸がやってきたというものでした。

44:17 ・・・天の女王にいけにえをささげ、それに注ぎのぶどう酒を注ぎたい。私たちはその時、パンに飽き足り、しあわせでわざわいに会わなかったから。 44:18 私たちが天の女王にいけにえをささげ、それに注ぎのぶどう酒を注ぐのをやめた時から、私たちは万事に不足し、剣とききんに滅ぼされた。」

◆エレミヤ書の三大否定
エレミヤ書はキリストによる来るべき新しい契約につなげていくための橋渡し的な準備のための書です。ですから旧約聖書の中で3つの重要とされている事に対してそれを否定するかのような記述があります。
(1)契約の箱。(2)モーセの契約。(3)ダビデの家系

(1)契約の箱。
3:16 その日、あなたがたが国中にふえて多くなるとき、――主の御告げ。――彼らはもう、主の契約の箱について何も言わず、心にも留めず、思い出しもせず、調べもせず、再び作ろうともしない。

この御言葉は、また15節の「牧者」、本体であるキリストが来られるから実現するのです

(2)モーセの契約。
31:31 見よ。その日が来る。――主の御告げ。――その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家とに、新しい契約を結ぶ。 31:32 その契約は、わたしが彼らの先祖の手を握って、エジプトの国から連れ出した日に、彼らと結んだ契約のようではない。わたしは彼らの主であったのに、彼らはわたしの契約を破ってしまった。――主の御告げ。―― 31:33 彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。――主の御告げ。――わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。

(3)ダビデの家系
22:24 「わたしは生きている、――主の御告げ。――たとい、エホヤキムの子、ユダの王エコヌヤが、わたしの右手の指輪の印であっても、わたしは必ず、あなたをそこから抜き取り、
(中略)22:30 主はこう仰せられる。「この人を『子を残さず、一生栄えない男。』と記録せよ。彼の子孫のうちひとりも、ダビデの王座に着いて、栄え、再びユダを治める者はいないからだ。」

◆ 物議を呼ぶ行動
(1)裏切り者であるかのような発言
エレミヤはまた侵略者ネブカデネザル(2世)を「神のしもべ」であるといい、イスラエルの戦火を神の意思であると預言したため、仲間であるはずのユダヤ人たちから激しく攻撃されました。

25:9 見よ、わたしは北のすべての種族を呼び寄せる。――主の御告げ。――すなわち、わたしのしもべバビロンの王ネブカデザルを呼び寄せて、この国と、その住民と、その回りのすべての国々とを攻めさせ、これを聖絶して、恐怖とし、あざけりとし、永遠の廃墟とする。

 21:8 「あなたは、この民に言え。主はこう仰せられる。『見よ。わたしはあなたがたの前に、いのちの道と死の道を置く。 21:9 この町にとどまる者は、剣とききんと疫病によって死ぬが、出て、あなたがたを囲んでいるカルデヤ人にくだる者は、生きて、そのいのちは彼の分捕り物となる。
 21:10 なぜならわたしは、幸いのためにではなく、わざわいのためにこの町から顔をそむけるからである。――主の御告げ。――この町は、バビロンの王の手に渡され、彼はこれを火で焼くであろう。』」

回復についての預言
30章あたりから滅びと同時に回復の預言なされます。33章3節は特に有名です。
33:3 わたしを呼べ。そうすれば、わたしは、あなたに答え、あなたの知らない、理解を越えた大いなる事を、あなたに告げよう。

◆自分の置かれている場所で主が祝福を与えてくださる。
私達が人生の中で罪の結果や間違った決断によって自分が願っていたものではない状態になってしまうことがあるでしょう。しかし主はその状態から新しく始め祝福を注ぐことができるのです。

29:7 わたしがあなたがたを引いて行ったその町の繁栄を求め、そのために主に祈れ。そこの繁栄は、あなたがたの繁栄になるのだから。」
29:11 わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。――主の御告げ。――それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。

◆敵からも尊敬されていた。
40章4節の記述にあるようにエレミヤの名はバビロンの将兵にも良く知られており、民が捕囚されるときにも彼は自由を与えられました。主と共に堅く立つ人は、困難な中においても守られるのです。

詩篇91:4 主は、ご自分の羽で、あなたをおおわれる。あなたは、その翼の下に身を避ける。主の真実は、大盾であり、とりでである。(中略)91:7 千人が、あなたのかたわらに、万人が、あなたの右手に倒れても、それはあなたには、近づかない。