JP−A−A40  中級編  旧約聖書概論 Aグループ  (40) ゼカリヤ書
19/10/09 1/2  ● ■・■

 

◆ エルサレムの再建
ゼカリヤは若い預言者であり、その時代にハガイという老齢の預言者もいて調和した預言活動を行います。
彼はエルサレムの再建についての幻を見ます。(1:12〜17)

(1:16)で言うエルサレムの復興、神殿の再建はゼルバベルによって成就します。(エズラ記)に描かれたエルサレムに帰還した人たちにとって大きな励ましを与える預言であったことでしょう。

この神殿は目に見えるものでしたが、究極的にはイエスキリストという神殿に対する預言です。ヨハネ2:19でイエスが「神殿を壊してみよ、私は三日でそれを建てる。」といわれた神殿を表しています。
「三日で建て直される」ことからわかるように、よみがえったキリストの体のことです。

◆ 大祭司ヨシュアを訴えるサタン
神の法廷にサタンが顔を出していることに驚かれるかもしれません。しかし、ヨブ記にもありましたが、これはキリストがこの地に来てくださる以前の現実です。人が罪を犯したことにより、人に対する裁きが猶予され、それと同時に、サタンにも猶予期間が与えられたのです。

(マタイ4:8〜9)で 悪魔はこの世界の栄華の全てを見せて「これらは私に任されている」と語ったところイエス様はそれを否定されなかったことにも表れています。彼はほしいままに振舞っていたのです。

しかし、サタンの訴えは退けられました。神により(3:4)不義が取り除けられ、礼服を着させられたからです。
これは、来るべきキリストの十字架による罪の赦しを意味します。

◆キリストの予告
実際(3:8)で「わたしのしもべ、一つの若枝を来させる」と語りました。「新芽・若枝」とはイザヤ11章1節で解説したように「ナザレ」を意味しナザレ人であるキリストを指しています。若枝は(6:12)にも登場します。

神の御力によって物事を成し遂げようとする人は次の言葉を心に停めておく必要があります。

4:6 彼は私にこう答えた。「これは、ゼルバベルへの【主】のことばだ。『権力によらず、能力によらず、わたしの霊によって』と万軍の【主】は言われる。(改4) 権力=能力、財力、軍隊。能力=力、ある種の爬虫類

ピリピ 1:6 あなたがたの間で良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださると、私は確信しています。

(4:14)に登場するふたりの油注がれた者は、(黙示録11:3)に出てくる二人の預言者です。彼らの正体はそれまで一度も死を体験しなかったエノクとエリヤだという説もあります。
サタンは神の御業をいつも真似して先取ります。次章に登場する二人の女はこの二人の預言者の真似です。

5:6『私が「これは何ですか」と尋ねると、彼は言った。「これは、出て行くエパ升だ。」さらに言った。「これは、全地にある彼らの目だ。」』

古い新改訳聖書では「目」という言葉を「罪」と訳していましたが、正しくは「目」です。それはフリーメーソンのシンボルを彷彿させます。また、御言葉にはっきりと書かれている事柄が隠匿されてしまっている事実に驚かされます。
イルミナティーと呼ばれるサタンの地上における出先機関は、フリーメーソンという団体を乗っ取り、その他の多くの活動を通じてサタンの意思をこの地上で実現させるべく活動しています。

エパ枡とは商取引に利用される枡ですので、これは経済活動を表しています。
ですから、(5:7)の「見よ。鉛のふたが持ち上げられると、エパ升の中に一人の女が座っていた。」という女は経済に関係あることがわかります。
そのようなわけで、この女は黙示録17章の「大淫婦」と同じものだと思われます。サタンは経済を支配することによって人々を支配しており、この大淫婦は「信用創造」などの経済を牛耳る非常に強い霊です。
黙示録17章18節の「あなたが見たあの女は、地の王たちを支配する大きな都」という言葉が示す通り、国家よりも大きな力を持っているのです。

「信用創造」とはお金を何も無いところから作り出す金融技術で、今日全ての国が普通に行っていることです。
かつて物の値打ちを測る単位は貴金属の量やお米の石高で定められており、紙の通貨はその代用品に過ぎませんでした。しかし、今日、通貨は銀行(政府ではない)がその国の信用を担保にして造っているに過ぎません。
通貨の創造は人類最大の詐欺と呼ばれるほどのものですが、うまみがあるためにやめることができません。
それは黙示録18:3の「すべての国々の民は、御怒りを招く彼女の淫行のぶどう酒を飲み、地の王たちは彼女と淫らなことを行い、地の商人たちは、彼女の過度のぜいたくによって富を得た。」という言葉に表れてます。

そうであるなら5章9節〜11節に出てくるシヌアルの地(バビロン)に「エパ枡」を安置した神殿を建てさせる「二人の女」が何かわかります。
今日の経済の両輪である通貨の信用創造と金融を現しています。実際、世界の金融の中心地であるニューヨークには「自由の女神」が設置され、通貨の中心であるワシントンDCには「コロンビアの女」があります。「コロンビア」はワシントンD.C.の「C」のことでアメリカを意味する言葉です。
実際、エルサレムから北西方向(47.9度)の一直線上にニューヨークとワシントンD.C.が存在します。

「神の国の血液は信仰だがサタンの王国の血液はお金である」という言葉があります。それは単に「お金への欲が罪の元」という事以上の意味があります。というのも、今日の戦争、貧困、格差社会、それらはすべて借金によってお金を生み出す(利子分の不足がそのつど蓄積していく)経済システムに起因しているからです。

3章で礼服を着せられた大祭司ヨシュアはここでさらに金の冠を被らせられます。これは第1ペテロ2:9に書かれた「王であり祭司」が誕生したことを意味します。
ヨセフはユダ族(王権)ですが、マリアはエリサベツと親戚だったことから、レビ族(祭司)の血統だと考える聖書学者もいます。(ルカ3章の系図がマリアのものであるなら、そのようには読めませんが。)

◆毒の杯であるエルサレム
12章2節に「よろめかす杯」と書かれていますが、原語ではラアルは「毒」という意味です。
今日、イスラエルやエルサレムをめぐって多くのクリスチャンたちが惑わされ、重い石(12:3)とされています。また、すべての馬の乗り手を狂わせる(12:4)とあるように、人々は正常な判断ができなくなってしまいます。

◆ ユダヤ人がキリストに対する啓示を受け悔い改める。
(マタイ27:25)でユダヤ人達はキリストを憎むあまり「その血は、私たちや子どもたちの上にかかってもいい。」と語りましたが、自分たちが突き刺したものがキリストであるという啓示が与えられます。(12:10)

ユダヤ人たちは偶像礼拝をしていないのに(13:2)で偶像を絶ち滅ぼすとあるので不思議に見えますが、この偶像とは政治力、経済力、軍事力に頼った国の間違いとも解釈できるでしょう。

◆ 主の再臨
今の時代の最終戦争でエルサレムは攻められ、危機を迎えますが、そのさなかに主が再臨しオリーブ山に立たれます。大地殻変動が起こり、エルサレムから湧き出る泉が、死海と地中海、東西に流れるようになります。

14:9 【主】は地のすべてを治める王となられる。その日には、【主】は唯一となられ、御名も唯一となる。

再臨後、千年王国が樹立され、民が安らかに住みます。
以前にも解説しましたが、旧約聖書で描かれた未来は千年王国までです。