★Sapporo Christian Group★ Sapporo Biblical Christ Church

本文の補足


「あたらしいみかんのむきかた」の終わりの言葉

最後まで読んでくださってありがとう。みなさんはいくつチャレンジできましたか?

私と「あたらしいみかんのむきかた」とのかかわりは、ある日むいたみかんの皮がサソリに見えると思ったことが始まりです。

サソリといっても、私以外の人には誰にもそう見えないレベルのものでしたが。でもどんな出来事でも小さな可能性を信じることから始まるものなのです。

まるいみかんを平面に切り出すことは世界地図をつくることに通じます。

思い起こせば私は子供のときから地図が大好きで丸い地球から平面の世界地図ができているのが不思議で興味深く見ていたのを覚えています。ですから「あたらしいみかんのむきかた」というのは私の心の中にずっと昔から暖められていたものだったのでしょうね。

同じように、みなさんが今もっている興味や願いというものも、たとえそれがどんな小さなことであっても将来何かの形で大きく花開く可能性があるのだと思います。


日本の代表的な工作は折り紙ですが、その面白さは「四角い紙をただ折るだけ」という制限の中にあります。同じように私のみかんの皮アートにもみかんの皮を切ってむいただけというルールがあります。ですから目的の形を作るとしても、この部分が余分だから取ってしまおうとか、ここに付けたしたいという勝手なことはできません。けれども、そういった制限があるから面白いのです。

盆栽や枯山水に見られるように日本のアートのひとつの特徴は与えられた制限の中でシンプルな美しさを追求することにあると思います。

新しいデザインを生み出すときに苦労する点は、一旦おおよその形が出来ても形を整えているうちにそこに接している別の部分の形も変わってしまうことです。ですから、それぞれの形が自己主張し過ぎないようにちょうどいい落としどころを探し出さねばなりません。それは「調和」を求める作業と言えるでしょう。

そのようなわけで最初に意図した形とは違ったものが出来上がってしまうわけですが「和」によって生み出される形はいつも思い描いた以上に魅力的なのです。

もともと捨てられるはずのみかんの皮に価値をみつけて命を与えていくことは「もったいない」という言葉が伝える日本人の心に通じるものがあると思います。

制限の中で生み出すこと、周囲との和を求めること、シンプルな造形美、そのようなキーワードであらわされ、また最も日本的な果物で作る「あたらしいみかんのむきかた」はまさに日本的な工作なのです。


著者略歴

1965年大阪に生まれる(Yoshihiro Okada)

大阪芸術大学芸術学部美術学科卒

個展開催回数四回

1991年・ゼンリン主催・第一回オリジナル地図コンクール特別賞受賞

Estandarte para las Naciones聖書学校卒(メキシコ)

札幌クリスチャングループ・キリスト教会牧師


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